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2007.08/06(Mon)
ななついろ★ドロップス 第5話までの感想と課題
ななついろ★ドロップスは5話でひとくぎり
関西とネット配信以外は5話まで放送。6話から新展開なので、ここまでの全体的な感想などを。映像の綺麗さ・ストーリーの名作路線は今期トップクラス
今期で、映像がもっとも綺麗な作品の一つです。「いとうのいぢ絵っぽさ」は灼眼のシャナ・涼宮ハルヒの憂鬱より上。女キャラももちろん、男キャラのかっこよさも突出(※一般的な意味で)。また、毎回「綺麗だなぁ」と思えるシーンがたくさん。キャラデザの伊部由起子さんをはじめとして、スタッフの努力が感じられます。
雰囲気も、全然深夜アニメっぽくない古典的魔法少女物の王道路線で、1話〜4話はゆるい名作劇場のような流れ。原作のイメージを壊さないようにしつつ再構成し、ちょっと不健全なシーンを削り、主人公(秋姫すもも)を子供っぽくしています。
原作は美少女ゲームの中では異色作でしたが、その独特の世界観をかなり再現出来ています。世界観やストーリーは全く違うけど、ARIA The ANIMATIONやラムネに通じるものが。
でも、つかみが弱いんじゃない?
1話〜4話は原作に比べて、脚本とキャラ設定が- 恋愛要素のある、子供向け魔法少女物語
- 情操教育目的の、名作アニメ
製作委員会もすでに知っているでしょうけど、このアニメは序盤での脱落率が他の作品より高めです。特に10代〜20代前半の男で。「パンツが見えない」みたいなのは別にして、「綺麗にまとまったゆるいお話」の4話連続だとやっぱりつかみが弱い。アニメが初見だと、
- 本当に面白いの? 面白くなるの?
- 星のしずくを手軽に集めてるし、熱い戦いとかなさそう。全然刺激的じゃない
- ヒロインが子供っぽい。話も子供向け番組みたい。最後までこれ?
- すももが成長して、恋も魔法もライバルに勝って。少しはトラブルもあるだろうけど、星のしずくを7つ集めて石蕗が元に戻って、石蕗とすももがくっついておしまい?
仮に「最後まで見たら名作」としても まずは最後まで見てもらわないと…。「ネットで見かけた意見を参考にして、視聴を決める」「他人の意見と概略から受ける印象で作品のよしあしまで決める」パターンも結構あるし。今思えば、恋愛要素と健全さを徹底的に前面に出した宣伝をすべきだったかも。
とはいえ、放送エリアの広さや、いとうのいぢ・原作ファンのおかげで、トータルでの視聴者数はそこそこあるようですが。
なぜつかみが弱いのか
1. 熱い展開・刺激的な展開がなく、ほのぼの
そういう作品だし、序盤はその傾向が強め。考えたら、今の深夜アニメって恋愛も含めていろいろ争うのが当たり前ですよね…。まあ、恋愛描写をもっと前面に押し出すとかしずくを苦労して採るとか、もう少し演出の工夫があってもいいとは思います。2. キャラの心情を理解しないと、展開がわかりにくい
すももは、心のつながりを感じると、強くなるキャラです。また、理屈ではなく感情で動いてます。少女漫画、少女向けラノベ、ケータイ小説では時々見かけるけど、アニメではめったに見かけないですね。1話〜4話は、
- すももがトラブルにあって落ち込む
- 石蕗に話しかけてもらって、沈んだ心が回復(1話:園芸部、2話:相合傘、3話:ブランコ、4話:プール特訓後)
- ユキちゃんに勇気をもらい、ほぼ完全に吹っ切れて成長する
残念なのは、その流れを読み取れる視聴者は、おそらくかなり少ないという事。1話〜4話は漫画版と違い、すももの心理描写がほとんどない上に夜に大泣きしたりするため、石蕗の言葉の力が軽く見える。
また、ほとんどの深夜アニメは、強い刺激とわかりやすく簡単な流れで引き付けるため、「好きな男の子(女の子)と楽しく会話出来た日は、1日中気分がいい」みたいな感情を、アニメでは感じにくい。この感覚がないと、特に3話4話の結末はかなり唐突だし淡々としたストーリーに見えます。
3. 子供向けっぽい脚本と、すぐわかる伏線の少なさ
深夜アニメ視聴者層で声の大きい人たちは、『子供向けアニメ』を退屈に感じる事が多いです。ほぼ全ての深夜アニメは、視聴者をひきつけるような強い刺激を含んでいますが、この作品の特に序盤はそういう要素が少ない。恋愛要素も弱めで、起承転結の綺麗さと主人公の成長を重視した感じ。伏線もたくさん詰め込まれてるんだけど、さりげなさすぎて目立ちません。
4. すももの低年齢化と、キャラ萌え要素の不足
これがつかみが弱い一番の原因かも。G'sマガジンを見ればわかるけど、ななついろは本来、キャラ萌えが強めの作品です。実は、キャラに熱狂的ファンがつくと、作品は面白く見える。逆にキャラ人気がない場合、刺激的なストーリーにしないとつまらなく見える。「名作路線アニメ」の関連商品が全く売れない事が多いのは、これが一因と思われます。
アニメのななついろは、すももが幼く見え感情の波が激しくよく泣いているため、 感情移入しにくい。
でも、アニメ化でいろいろ切り詰めるのは仕方ないんで、難しいところですね。すももが賢いと、細かい描写が必要になってくるし。
5. どこかで見たような設定とストーリー
序盤は魔法少女物のフォーマットをなぞっているので、仕方ないです。ただ、少し工夫すれば「これはCCさくらとはかなり違う。今風のひねりが入ってるかな?」と第1話で演出出来た余地が。また、序盤は王道路線すぎて「ありきたりな内容で最後までいくのか」と誤解されても当たり前。
※CLAMPが原典であるかのように見られるのも、皮肉な話ではありますが。知名度ってのはやはり重要ですね。
第5話は原作寄りのイメージに
脚本家が島田満さんから成田良美さんに代わった第5話は、- あからさまな媚びはいらない。だけど、最大公約数的な要素や、キャラに感情移入しやすい要素があると嬉しいかも。
- 魔法や戦いは、味付け程度でいい。すれ違いや心のつながりをていねいに描いた、ゆるい恋愛ストーリーが見たい。
後半の作りがものすごく重要
いろいろ書いてきましたが、どうこう言ってこの作品すごく出来はいいです。美少女ゲームをアニメ化すると、映像もストーリーも驚くほど低品質になるパターンがやたら多いし。ゲームは原作ファン層が薄い→売上予想が低い→予算がつかない→低品質になる…という事で仕方ないんですが。
この作品は、少なくとも映像は圧倒的に綺麗。ストーリーも、好きな人には好きな流れかと思います。でも、1話〜4話の雰囲気を最後まで続けたなら、評価はちょっと微妙。
5話まででもいい加減普通のアニメとはノリが違うんだけど、6話以降は原作をなぞるならさらに独特で恥ずかしい展開になるはず。後半をいかに上手に作るか、ですね。
テーマ : ななついろ★ドロップス - ジャンル : アニメ・コミック
タグ : アニメ いとうのいぢ ななついろ★ドロップス