フラクタル第1話「出会い」感想
ついにヤマカン引退かなぁ。
原案の東浩紀さんが「オタク向けのニッチサービスを提案したが拒否られた」云々と予防線を張るような発言を繰り返したり、山本寛監督(ヤマカン)が「失敗したら引退」発言をしたりと、アニメ本編以外で物議をかもしている当作品。
縮小再生産
ヤマカンの数々の発言を見た感じ、フラクタルは縮小再生産を続けるアニメの危機を打破すべく、企画されたように思えます。
出来上がったのがどこかで見たようなアニメになったのは、少々皮肉ですが…。
「フラクタル」という命名の真意は知らないけど、「縮小再生産」からの連想?
男性向け深夜アニメは、バリエーションがかなり乏しいです。
- 現代日本またはそれに近い世界
- 学園
- キャラは中高生
- ヒロインはみな美人なのに、彼氏もいないし過去に男と付き合った事もない
- ヘタレ主人公にツンデレヒロイン他が寄ってくるハーレム。または美少女動物園
こういうアニメがすごく多い。
宇宙SFやハイファンタジーといった現代日本からかけ離れた世界の作品は、作っても受けにくい。
中年が主人公のアニメはほとんどない。小学生以下が主人公のアニメは人気が出にくい。
なぜか男と付き合った事がない美少女が、なぜかヘタレ主人公に群がる。
「受けやすいパターン」が確立し、それを再構成した作品が作られ続けてるわけです。
深夜アニメは、「一度見たテレビアニメを、2話あたり定価5000円~9000円ぐらいで買う」といった感じの特殊な消費行動に依存するビジネスモデルなので、売れ線追求は当然ではありますが。
どんどん内向きに
さらに、オタク界隈のネタやパロディを適度にばらまけば、一層食いつきがいい。
オタクのあるあるネタはなじみやすい。パロディはオリジナルのネタを一生懸命考えるよりずっと効率的で、視聴者が元ネタを知ってれば作品に深みが出るし、知らなくてもインパクトは強い。
ライト層は去り、残った特濃のオタも減っていく
「よい作品を作るには人生経験が必要」とか言われるけど、今はむしろオタク界隈の事物にだけ詳しい純粋培養の作者の方が有利に思えます。受けやすいパターンを自分の実体験としてよく知ってるし、オタクのあるあるネタやパロも的確に投入出来る。
結果、濃いオタク向けに特化した、狭い世界で閉じた作品が作られる。
しかし、それは「相当危険な状態」かもしれないわけです。
「濃いオタク」と「興味ない・ついていけなくなったその他大勢」が完全に分かれ、残ったオタクも徐々に脱落し、最終的にアニメが衰退するかもしれない。
ヤマカンや東浩紀の提案
- ヤマカン……子供を作りたくなるアニメ。普段アニメを見てない・見なくなった人がターゲット。今の深夜アニメは確実に売り込むため、同じジャンルで同じテイストの作品を作って客を奪い合ってきた
- 東浩紀……現実をどう生きていったらいいかという問題提起の要素をこめた
フラクタルは、ヤマカンが自らの進退とアニメの未来を賭けた大勝負なんだろう、と思えます。
その中身はというと、一見すると「1970年代~80年代の、冒険活劇もの」っぽい。
これはつまり、「未来少年コナン/ナウシカ/ラピュタ/ふしぎの海のナディアみたいな冒険活劇こそが、閉塞感を打破出来るジャンル」…という事?
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